
左の黄色い《ハープの精》が奥さん。中学生の時に遊戯王カードで遊んでいました。
右の紫色い《ワイト》が夫。10年ぶりの遊戯王でテンションが上がっています。
これから書く話は、奥さんに遊戯王カードを楽しんでもらうと思ったらボコボコにされた時の話です。奥さんにボコボコにされた時の話です。
対峙する夫婦。
たたかいのひ。

デート3回目にしてカードゲームしたやつら。私たちです。
デュエルの日がやって来ました。奥さんのデッキは、中学の時にお友達と遊んでいた当時のデッキ。対して夫が持ってきたデッキは、この日のために用意したハムナプトラデッキ。
どんな戦いになるのか、全くの未知数でした。
古き良き戦いの作法。

奥さんのデッキは、当時の構築済みデッキ(ある程度カードが組まれていて、買ってすぐ遊べるやつ)に、パックから出たカードを自分好みに足して改良したものでした。そういうのいいよね!!
2人で遊戯王の思い出話をした時に、奥さんが使っていたカードについて少し話してくれました。
何でも《ハープの精》だとか《ホーリー・エルフ》だとか《慈悲深じ修道女》といった、「通常召喚が可能で守備力が高い」モンスターが好きで、よく使っていたとのことです。
懐かしい… 何て懐かしい感覚なんでしょう。今で言う〈アドバンス召喚〉が、当時〈生け贄召喚〉と呼ばれていた時代の感覚です。ノスタルジアやばい。
素晴らしき生け贄の流儀。

守備力の高いモンスターの他に、奥さんのデッキは《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》がいるとのことでした。夫はそれを聞いて、勝手に解釈して納得してしまいました。
「なるほどね。守備力の高いモンスターで身を守りながら、ブルーアイズの召喚に繋げるわけね。いいね! 王道だね~! 王国編もいいけど、バトルシティ編もいいよね!」
夫は感動してたので、ベラベラ喋ってうんうんと頷いてました。舞い上がってました。
しかし、カードゲームを遊ぶ者ならば誰しもが知っている。思い込みが一番危険なのだと。
何か見えてる。

何だあれ… 何だっけアレ。 確か… 《デス・コアラ》じゃなかったっけ…
奥さんのデッキのカードが1枚、チラリと見えました。「確かそうだ、あれは《デス・コアラ》だ。リバースモンスターの。その《デス・コアラ》が何故…」
リバースモンスターは裏向きで場に召喚されます。こちらからは攻撃するまで正体がわかりません。攻撃されて表になったとき、そのモンスターの効果が発動します。半ばトラップを内蔵したようなモンスターです。
《デス・コアラ》は夫が遊んでいた頃に見なかったカードで、最近になってネットのカードショップでチラっと見たくらいでした。
何だったかな効果。確か、ダメージを与えてくる効果だったような…
戦いの前の… 疑い。

チラリと見えた《デス・コアラ》を、奥さんはそそくさと隠しました。
「この違和感… 奥さんのデッキは守備を固めて生け贄召喚に繋げる戦法のはず。まあ、《デス・コアラ》はかわいい部類のモンスターだし、女子のデッキに入っていても不思議ではないか…。」
とか思い込みを重ねているうちに、奥さんとの対戦が始まりました。
夫の猛攻!
夫のアンデット・デッキのお披露目。

コンセプトは《ハムナプトラ》です。アンデットが際限なく溢れ出てきます。
デッキ内のモンスターの大半は、特に効果を持たない下級アンデット・モンスターで構成されています。それがわらわらと出てきます。
もちろん無目的な死霊の盆踊りではなく、切り札のための下準備です。
「よくわからない戦法だったので様子見してたら、実はヤバかった~!」という、漫画の敵役みたいな戦いをするデッキになっています。
夫が嬉々としてカードを広げている一方で、奥さんは妙に静かでした。
アンデットがわいわい。

アンデット・コンボは続きます。
魔法カードやトラップカードを駆使して、低級アンデット・モンスターで場を埋めていきました。1体1体の戦闘力は低いので、全く怖くないお化け屋敷みたいな場になりました。
「オバケが無限に湧き出てくるよぉ~~!」という奥さんのリアクションを期待してたのですが、何をしても「うんうん」と頷くだけでした。
さっきからモンスターを裏守備表示でセットしていくだけで、全然攻撃してきません。
夫のモンスターは戦闘に向かないので、高い守備力を持つであろう奥さんのモンスターには攻撃できません。
戦えない弱いモンスターと戦う気のない謎のモンスターだけが増えていく。〈デュエルモンスターズ〉なのに誰もデュエルない。ターンだけが静かに過ぎていきました。
戦略をベラベラ喋り出す敵。

漫画にいますよね。準備が整って自分の有利を確信して、急に色々喋り出すやつ。夫です。
アンデットを場に蔓延させていたのは、嫌がらせ以外にも意味があります。あまりにゲームに動きがなく、耐えかねた夫は聞かれてもいない真の目的を話し始めました。
「すべては冥界の神《オシリスの天空竜》を呼び出すための前準備だったのだ~! このように手札をパンパンにため込んだのも、全てはオシリスの攻撃力をあげるため! 神を呼ぶ用意は整った!!」
なぜ急にベラベラと喋り出したかというと、《オシリスの天空竜》を奥さんとの戦いで使うことに少し抵抗があったからです。
「ブルーアイズが切り札の奥さんに、現代のスペックで生まれたオシリスを使うのは酷なんじゃないか。」と思ったんです。
それでもデッキに入れていたのは、「アンデットの従者を生け贄に冥界の神を呼び出すのってカッコいい! 呼び出して見せたい!」という気持ちが強かったからです。
「入れたはいいが、やっぱり強すぎるよな~」という葛藤もあり、つい喋っていました。
「準備万端だけど、まだ手札に神は来ていないから、止めるなら今の内だよ!」と奥さんに話し掛けましたが、全然気にしてませんでした。奥さんは奥さんで様子がおかしいのです。
でも結局、奥さんには杞憂でした。もう手遅れでした。
奥さんの本性。
相性最悪のバーンデッキ。

「リバースモンスター、オープン!」
奥さんはそう言って裏守備表示モンスターを表にしました。そいつは戦う前に一瞬見えた、《デス・コアラ》でした。
〈デス・コアラ〉の能力。それは表になった時、「相手の手札1枚につき、400ポイントのダメージを与える。」 ふーん、そっかそっか~ なるほどね~ 手札1枚につきね~… ん…?
手札1枚につき!? オシリスを活かすために手札をため込むデッキなのに!?
そんな相性最高(こっちは最悪)なことある!? ないことはないだろうけど、初カードデートで!? というかブルーアイズはどうしたんだ何でバーンなんだよ!
手札はちゃんとマックスの6枚持っていますよ、貯めましたからね! 最大ダメージじゃん!!
『バーン』
カードの効果によって直接相手にダメージを与える戦法。バーンによるダメージの一つ一つは微々たるものだが、数合わされば大量のダメージとなる。
奥さんのデッキは割とバーン戦法寄りで、夫が気付いた時にはもう致命傷だった。
死滅都市ハムナプトラ。

乾いた~ 叫びが~ 挫けそう~な胸に 2400ポイント突き刺す~
後になって思えば、奥さんはゲームが上手でした。夫が勝手に誤解している奥さんの戦法を特に訂正せず、好き勝手やらせて油断している間に強い不意打ちをぶつけてきました。
状況を全部利用して、ちゃんと勝ちに行くタイプでした。勝負師か?
「な… なかなかやるじゃない… しかし! まだ勝負は決まっちゃいねぇぜ! こっから大逆転してみせるぜ!」(ブログタイトルを確認)。
次回へつづく。
蹂躙! 圧倒! 加虐!『お前はもう、死んでいる。』
読んでくださってありがとうございました。 次回は奥さんが夫を一方的に打ちのめす記事になります。お楽しみに!
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